確定申告の時期まであとわずか。開業届を提出されていない方は、提出を急いだ方が良いかもしれません。ただ、副業をしている会社員の方は「会社にバレるリスク」などを考えて、開業届を出すのを躊躇いがち……。こちらでは、開業届をいつまでに出すべきか、ベストなタイミングを5つご紹介します。
開業届の提出期限【いつまでに出すべき?】
個人事業主として開業をする場合、いくつかの手続きを踏むことが必要です。
できれば必要な提出書類を期日までに提出し終えて、気持ちよく事業を始めたいところ。
こちらでは、開業に必要な提出書類について、特に「開業届の提出」にポイントを絞ってご紹介します。
開業届の提出期限は「開業日から1ヶ月以内」
開業届とは、個人事業主になるために「個人事業を始める宣言」のような位置付けに当たる書類のこと。
当然、個人事業主になる方の全員が出す必要のある書類になります。
そして、開業届の提出期限は「開業日から1ヶ月以内」と決められています。
「開業日」は、開業届に記入する欄が設けられています。
開業日について、国税庁の公式HPによれば「事業開始の事実等があった日」とされていますが、具体的な日付を特定させる定義にはなっていないのが特徴です。
開業届の提出期限に遅れるとどうなる?
開業届に提出の義務があり、期限が設けられているとなれば気になるのは「提出期限に遅れてしまった場合のデメリットや罰則について」ですよね。
開業届の提出期限に遅れてしまった場合どうなるのか、実は罰則のようなものはありません。
正確には「出さないことに対する罰則」はないという言い方になるでしょう。
つまり、開業届を提出しない、あるいは提出期限を過ぎてしまうことで、以下のようなデメリットが付随するように発生してしまう可能性は考えられます。
- 青色申告ができないので、認められる経費や控除額が減ってしまう
- 売上を立てるためのコストが思うように経費として認められない
「開業日の設定」で提出のタイミングを見極めよう!
話を整理すると、開業届は
- 開業日から一ヶ月以内に提出しなければいけない書類
- “開業日”の定義は、具体的な日付を特定させるものではない
ということになります。
要するに、開業日は現実的に可能な範囲で、個人事業主サイドにある程度の裁量が持たされているのです。
ここに、お得でベストな提出タイミングを見極める必要性やメリットが発生します。
【補足】開業日の設定について
開業日が厳密に決まっていないのは、「決められないから」ということも一つの理由として考えられます。
例えば、自分でwebメディアを立ち上げた場合、
- 独立を決意した日
- webサイトを作り始めた日
- webサイトを公開した日
- 売上が立った日
次のうち、いつを「開業を始めた日(=開業日)」とするかは意外と判断に困りますよね。
また、個人事業主と一口に言っても業種や職種によって多様な働き方がありますから、事細かに設定できない事情もあると考えられます。
結論、開業日を後ろにずらせば、自ずと提出期限は伸びることになりますし、逆もまた言えるわけです。
開業届の提出タイミングを見極める5つのポイント!
開業届の提出期限はある程度、個人の裁量に任されている部分もあります。
そこで、こちらでは個人事業主の方が、自分に合った提出タイミングを見極めるためのポイントを5つご紹介します。
- 売上が発生した翌年の3月15日までに提出
- 売上の金額をみて提出を判断する
- 開業届を提出するデメリットから判断する
- 初期費用が多い場合
- 初期費用が少ない場合
【ポイント①】売上が発生した翌年の3月15日までに提出
開業届の提出するタイミングで最も一般的なのが「売上が発生した翌年の3月15日までに提出する」というもの。
「売上が発生した翌年の3月15日」というタイミングが一般的なのは、以下3つの事実があるからです。
- 確定申告をする場合、白色申告よりも青色申告の方が節税効果が高い
- 青色申告は「開業届」を提出した個人事業主にしか認められていない
- 確定申告の期限が3月15日
ちなみに、青色申告をするには、「開業届」だけでなく「青色申告承認申請書」の提出をもって認められます。
同じ税務署に提出することになるので、同時に提出するのがおすすめです。
【ポイント②】売上の金額をみて提出を判断する
開業届の提出するタイミングを更に見極めたい方は、
- 売上が発生したかどうか、ではなく
- 売上がどれほどのものか、を見てみるのもありです。
【事例1】副業の所得が20万円以下だった場合→出さなくても良い
ご自身が会社員をしている給与所得者で、副業をしている場合。
副業の年間所得が20万円以下であれば、確定申告は不要です。
確定申告が不要ならば、開業届を出す必要もまたありません。
【事例2】専業の所得が38万円以上だった場合→出した方が良い
ご自身が専業で、新しい事業を行っている場合。
年間の所得が38万円を超えるようであれば、確定申告、なかでも青色申告をして経費や控除額を多く認めてもらった方がお得になります。
それに伴い、開業届は提出するべきです。
【事例2】売上が赤字だった場合→出した方が良い
最後に、専業・あるいは副業で売上とコストのバランスが赤字だった場合。
こちらは、開業届を提出した方が良いです。
なぜならば、青色申告をすることで「赤字の繰越」ができるからです。
【ポイント③】開業届を提出するデメリットから判断する
開業届を提出するタイミングを見極める方法は他にもあります。
実は開業届を提出することでデメリットがある方も場合によっては考えられます。
以下のような状況にあって、開業届を提出するデメリットを被ってしまう人は、出すタイミングを遅らせても良いかも知れません。
- 失業手当がもらえなくなると困る人
- 会社に副業がどうしてもバレたくない人
- 家族の扶養から外れたくない人
【ポイント④】初期費用が多い場合
初期費用がある(多い)場合は、なるべく「早めのタイミングで」提出するのがおすすめです。
なぜならば、初期費用を「経費」として計上できるので、大きな節税効果を見込むことができるから。
例えば、
- 店舗を借りるための家賃
- パソコンなどの機材にかかったお金
- 雇った人に払う人件費
といったものはすべて、経費にすることができます。
【ポイント⑤】初期費用が少ない場合
初期費用がない(少ない)場合は、提出のタイミングを本業とのバランスをみながら進めてもいいかもしれません。
例えば、
- 売上が立つまでは本業に専念する
- 個人的なこだわりを持った日付を開業日にする
- 集客のイベントを考えた日付を開業日にする
といったような柔軟性を持って開業届の提出タイミングを考えてみても良いでしょう。
余裕をもった書類の提出をしよう【開業届の提出】
開業届の提出タイミングがわかったら提出をしましょう。
開業届を提出するまでの流れ
開業届を提出する流れは、基本的に3つのステップに基づきます。
開業届の取得
こちらお近くの税務署で無料で受け取ることもできます。
また、国税庁の公式HPよりダウンロードすることも可能ですので、チェックしてみてはいかがでしょうか。
開業届の記入
書類の記入もまた、国税庁の公式HPにて書き方が掲載されています。
一点、注意が必要なのが、職業欄について。
開業届に書く職業欄は、実は「事業税率」に関わる重要度の高い項目。
以下の記事などを参考に、丁寧に書き進めましょう。
開業届の提出
開業届を提出する方法は、「持参」「郵送」「時間外収受箱に投函」の3つがあります。
おすすめは、自宅で完結できる「郵送」による方法。
以下の記事で、郵送の手順などまとまっているので参考にしてみてはいかがでしょうか。
「開業届」以外に個人事業主が提出すべき書類
個人事業主として開業する場合、以下7種類の書類を提出しましょう。
- 開業届
- 所得税の青色申告承認申請書
- 所得税・消費税の納税地の変更に関する届出書
- 給与支払い事務所等の開設届出書
- 青色専従者給与に関する届出書
- 源泉所得税納期の特例の承認に関する申請書
- 消費税課税事業者選択届出書
なお、個人事業主になる全ての方が提出すべき書類は❶開業届、❷所得税の青色申告承認申請書のみです。
開業届の作成は代行という手もあり!
早く提出しなければいけないことが分かっても、本業との兼ね合いで少し時間がかかりそうな方。
少し時間を作れそうでも、書き方に不安が残る方もいらっしゃるかもしれません。
ココナラ(個人・法人の得意をシェアするオンラインプラットフォーム)では、多くの書類作成代行サービスが出品されています。
こちらの公認会計士の方は、開業届・青色申告承認申請書を一括で作成、提出までしていただけますよ。
是非チェックしてみてはいかがでしょうか。
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まとめ
開業届を提出するタイミング、想像以上に「制約」が少ないことが理解できたと思います。
それは良いようにも聞こえますが、自分がどうしたいかが求められている分、悩んでしまうこともあるでしょう。
開業の準備は書類の提出だけではありません。
「本当に自分が悩むべきこと以外はアウトソースする」という考え方も、個人事業を営む上では大切かも知れませんね。
ぜひ、気軽に相談ができるココナラを利用してみてはいかがでしょうか。