フリーランスは厳しいって本当?甘くない現実と安定した生活を送るためのヒントとは

フリーランス 稼ぎ方

自由気ままに働いて生活する。フリーランスにはそんなイメージがありますよね。その一方で、フリーランスは仕事が入らなくて厳しい生活を強いられることもあると不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。働き方改革が進み、個人のライフスタイルが重要視されたりして働き方が多様化している昨今、フリーランスで働くことを選択している人が増えています。そして、フリーランスの中には会社員時代の何倍もの収入を得ている人がいる一方で、厳しい現実に直面している人がいるというのが現実です。これからフリーランスになって稼ぐことは厳しいのでしょうか?フリーランスとして自由に働いてお金を稼ぐことは可能なのでしょうか?この記事では、こうした疑問についてお答えするとともに、フリーランスとして安定した生活を送るためのヒントをご紹介します。

フリーランスが直面する厳しい現実

フリーランス仕事がない
年々増加傾向にあるフリーランス。
働く場所を選ばない、好きな仕事ができる、また幅広い案件に関わることができるからスキルアップができる……など良い面がたくさん挙げられる一方で、フリーランスは厳しいという声をよく耳にします。
その理由として、以下の4つが挙げられます。

思うように案件を獲得できない

フリーランスは案件を受けて指示通りに作業をこなし、納品することで報酬を得ています。
その案件を獲得できないということは、収入はゼロに等しいということを意味します。
フリーランスの需要は増えていて、さらに市場も伸びているにも関わらず、以下の理由から案件の獲得が困難になるケースがあるようです。

案件とライバル数とのバランスが取れていない

フリーランスを利用する企業も増えていますが、全ての案件が“良い案件”とは限りません。募集中の案件には、低単価の案件も多くあります。
そのため、良い案件に応募が集中しがちです。
運良く採用されればいいですが、不採用となった場合は、新たな案件を探す必要があるでしょう。
その間収入は発生しませんので、案件が見つからない期間が長引けば長引くほど、フリーランスは厳しい生活を強いられてしまいます。

案件を選びすぎている

案件を選びすぎることも、案件を獲得できない理由の一つとして考えられます。
同じ職種でも、会社員の時とフリーランスではその内容が異なることがあります。
中には、労力が見合わないような低単価の案件もあり、うんざりするかもしれません。
けれども、「○○円以上じゃなきゃダメ」「□□のスキルが必要な案件以外はやらない」など、受注する基準を高くしてしまうと、思うように案件を得ることが難しくなります。

継続契約に結びつかない

「継続契約あり」といわれていたのに、納品後声をかけてもらえなかったということは珍しくありません。
継続して発注をする必要がなくなったというふうに、クライアントの都合が理由と考えられます。
また、他のフリーランスに継続依頼した可能性もあります。
いずれにしても、継続契約に結びつかないことは、一定の確率で起こります。

収入が安定しない

会社という後ろ盾のないフリーランスの収入は、仕事量と単価にダイレクトに影響を受けます。
コンスタントに案件を受注できるのなら別ですが、多くの場合はその月の仕事量と単価を予測することが難しく、収入が不安定になりがちです。

フリーランスの案件には、単発的なものと継続的なものとの2種類があります。
どちらの場合も、完納したらそこで収入も途絶えますので、終わった後の事を考えて仕事を獲得しておく必要があります。
それがうまくいけばいいのですが、思うようにいかないというのが現状という場合が多いでしょう。

また、案件を受けたとしても、途中で取引がキャンセルになったり、納品の確認が遅れてスケジュール通りに次の作業をスタートできなかったりと、収入が不安定になりやすい要因は他にもいろいろと考えられます。
会社員なら、会社の売上に多少波があっても給料に変化はありませんが、フリーランスの場合は、スケジュールが一つ狂うだけで収入に大きく響きやすいのです。
こうした「スケジュール通りに進まない要因」は身近にあり、ひんぱんに起こりやすいということが、収入の不安定さ(生活の厳しさ)につながっています。

予想外の事態が起きる

私たちは常に予測不能な事態に遭遇するリスクがあります。
災害や事故など、予想もしていない事に巻き込まれた場合、仕事を続けることが難しくなります。
特に、大災害で家や財産を失ったり、大病で長期間入院したりした場合は、あっという間に生活は厳しくなってしまうでしょう。

例えば、2011年に発生した東日本大震災では、震災後に仕事を打ち切られたり、イベントが中止になったりしたケースが多発し、生活に困ったフリーランスを救済するための「フリーランス震災ホットライン」が設置されました。
会社員など組織に属していれば、守ってもらえる面もありますが、仕事をして報酬を得ているフリーランスにとって、仕事ができないことは死活問題なのです。

クライアントに振り回されることも

全てのクライアントに言えることではありませんが、フリーランスで活動していると時にマナーの悪いクライアントにあたる可能性があります。

具体的には、
・突然の契約終了
・連絡を入れてから1週間以上返信がない
・報酬が支払わなれない
・契約にはない作業を次々と要求する
など、挙げ出したらきりがありません。

その日の仕事量によって報酬がほぼ決まるフリーランスにとって、こうしたクライアントの言動は、予定していた報酬を得られないことにつながります。
代わりに新たな案件が見つかるなど問題がすぐに解決できればいいですが、それが難しい場合は、減収という現実に直面するでしょう。

厳しい現実に追い込まれてしまう理由

フリーランス 稼ぎ方
なぜフリーランスは、厳しい現実に追い込まれてしまうのでしょうか。
その理由として、以下の6つが挙げられます。

・高単価の案件を得るためのスキルが不足している
・営業力が乏しい
・収入が不安定なのに何も対策をしていない
・福利厚生が充実していない
・クライアントなど外部の都合に影響を受けやすい
・低単価の案件ばかり引き受けている

高単価の案件を得るためのスキルが不足している

フリーランスで生活していくには、条件の良い案件を継続して獲得する必要があります。
そのためには、他のフリーランスよりも高いスキルを身につけ、いち早く経験を積むことが生活を安定させるための近道です。

高度なスキルが求められる案件を含めることで仕事の幅を増やすことが期待できますが、そのためにはスキルを習得する時間を確保しなければなりません。
けれども、フリーランスになると仕事や雑用などに追われて、スキルアップするための時間を確保しにくいのが現状です。

また、スキルアップには自己投資が必要ですが、生活費を稼ぐのがやっとという状態では、費用を工面することでも苦労するでしょう。
特に低単価の案件をこなす毎日を送っている場合は、勉強する時間や資金を確保する余裕がなく、スキルアップの見通しが立たないのではないでしょうか。

営業力が乏しい

良い条件の案件を継続して獲得するためには、スキルに加えて営業力も不可欠です。
会社に勤めている時は、指示された仕事をこなしていたかもしれません。しかし、フリーランスになった場合は、自分で案件を獲得するところから始める必要があるのです。

具体的には、
・案件を見つける
・クライアントと交渉する
・企画を作成・提案する
・契約を締結する
といった営業活動も、フリーランスの仕事に入ります。

それまで出社したら仕事がそこにあるという環境に身を置いていた場合、自分で仕事を獲得することに戸惑いを感じるでしょう。
けれども、営業力に自信がなかったり、営業する時間が取れなかったりするという場合は、継続して仕事を入れることが難しく、フリーランスとして生活していくことが厳しくなります。

収入が不安定なのに何も対策をしていない

収入を案件の数や単価に頼っているフリーランスにとって、自身の収入を安定させるのは難しいことです。
フリーランスには収入の制限がないため、稼げればサラリーマンの何倍もの報酬を手に入れることができます。
けれども、仕事が激減すると収入もそれに合わせて一気に下がってしまいます。急に仕事がキャンセルになる、事故に巻き込まれるなど、予定通りにいかないこともあります。

そうした出来事によって仕事が中断された場合、その時点で収入がゼロになります。
現実を無視してこれといった対策をしていないということは、「収入が不安定でやりくりしていくことが難しい」という状況に、自ら追い込んでしまうのに等しいといえるでしょう。

福利厚生が充実していない

病気やケガで長期間仕事を休む必要が出た場合、会社員なら会社の福利厚生制度によって、ある程度の生活は保障されます。
ところがフリーランスには、原則としてこうした保障がありません。仕事ができないことは報酬が得られないことを意味します。

自身の病気やケガの他にも、結婚や出産、親の介護など、仕事を長期間離れなければならないきっかけとなる出来事は、私たちの身近にあります。
長期間入院した場合、入院中の収入はゼロなわけですから、入院後の生活が厳しくなることは、容易に予想できるでしょう。

クライアントなど外部の都合に影響を受けやすい

フリーランスにとって、クライアントに何かトラブルが発生し、その影響を受けて収入が突然絶たれてしまうことは珍しくありません。

例えば、継続して案件を受注していたクライアントの会社が倒産してしまった場合、突然契約が終わり、次の日から新たな収入先を確保する必要が出てきます。
また、クライアントの会社の売上が伸び悩み、コスト削減となった場合、契約を打ち切られるリスクも考えられます。
このように、こちらではどうすることもできない外部的な要因も、フリーランスの収入に直接影響を与えることがあります。

低単価の案件ばかり引き受けている

低単価の案件ばかり引き受けることも、フリーランスを厳しい現実に追い込む理由の一つと考えられます。
低単価の案件でも、数をこなせばそれなりの収入になります。けれども、ある時点で収入アップは期待できません。

また、低単価の案件ばかり引き受けていると
・毎日仕事に追われてスキルアップする時間を確保しにくい
・毎月ギリギリの生活で自己投資にお金を回すことが難しい
・低単価の案件は実績につながりにくい
・単価に釣り合わないレベルの高いことを次々と要求されて苦労する
というふうに、フリーランスとして心身ともに厳しい生活を余儀なくされることが容易に想像できます。

フリーランスとして安定した生活を送るには

フリーランス 稼ぎ方
フリーランスとして安定した生活を送るには、「フリーランスの生活は不安定になりやすい」ということを前提に、対策を講じることです。

対応策として、以下7つの方法が挙げられます。
・条件の良い案件を受注できるのに十分なスキルを身につける
・営業手段を増やす
・複数の案件獲得経路を作る
・フリーランス向けの福利厚生サービスを利用する
・クライアントとの信頼関係を築く
・万が一に備えて貯金をする
・フリーランスエージェントに登録する

条件の良い案件を受注できるのに十分なスキルを身につける

条件の良い案件を継続して受注するために最も基本的なことは、案件をこなせるだけのスキルを持つことです。
高単価の案件には、価格に釣り合ったスキルが求められる傾向にあります。

例えば、Webデザイナーがフリーランスとして案件を得るために最低限必要といわれているスキルには、以下のものがあります。

・デザインの基礎
・デザインツールの使用(PhotoshopやIllustratorなど)
・コーディング(HTML/CSSやJavaScriptなど)

ただしこれらは、身につけておきたい最低限のスキルです。
同じようなスキルを身につけているフリーランスは他にもたくさんいますので、これらのスキルだけでは良い案件を継続して獲得し続けるということは難しいでしょう。

けれども、例えば
・UX/UIデザインのスキル
・フロントエンドのスキル
・Webマーケティングのスキル
といったスキルも身につけていた場合は、より単価の高い案件に募集できる可能性が高まります。

即戦力となりかつ持っていると有利になるようなスキルは、できるだけ多く身につけましょう。
高単価の案件をこなせるだけのスキルを身につければつけるほどライバルも少なくなりますし、案件も獲得しやすいという好循環が生まれます。

高単価案件では、スキルの他に実務経験を条件としているものも少なくありません。
その場合は、フリーランスとして独立する前に、2年ほど実務経験を積み必要なスキルを身につけるなど工夫することが大切です。

営業手段を増やす

フリーランスを悩ませるのは、取りかかっている仕事が終わった後に、新しい案件が見つからずブランクが空いてしまうことではないでしょうか。
それを防ぐためにも、案件を獲得できる可能性を少しでも多く広げておく必要があります。

案件を獲得するのに欠かせないのが営業力。
営業手段を増やし、できるだけ案件を継続して獲得できるよう仕組みを整えておきましょう。

具体的には、
・ブログやSNSなど自分の強みや仕事ぶりを発信できる媒体を持つ
・仕事上で知り合った人とつながりを持つ
・セミナーや勉強会に参加して新たな人脈を作る
・オンラインサロンに参加して知り合いを増やす
・外注を募集している企業に直接応募する
といった方法が挙げられるでしょう。

このように、営業手段は多岐にわたり、時には営業に費やす時間を確保することが難しいかも知れません。
また。フリーランスの中には、営業に苦手意識を持っている人もいます。
営業に費やせる時間や自分の性格などを考慮して、できる範囲で取り組みましょう。
いきなり企業に売り込みをかけたり、SNSで自分自身について情報を発信したりすることに抵抗感があるのなら、知人や身内に声をかけることから始めます。
そして、時間に余裕ができたらSNSを使って情報を発信するなど、無理のないペースで進めることが大切です。
また、いつ誰と出会ってもいいように、名刺を持ち歩くことを忘れないようにしましょう。

複数の案件獲得経路を作る

案件獲得経路で期待できるのが、フリーランス向けの案件を募集しているサイトの利用です。
ネット上には、フリーランス向けの案件を募集しているサイトが数多くあります。

フリーランスが利用できる代表的な案件サイトには、
・スキルマーケット
・クラウドソーシングサイト
・フリーランスエージェント
などがあります。

スキルマーケットとは、自分のスキルをベースにサービスを販売し、その見返りとして報酬を得るというフリーランス向けのプラットフォームです。
例えば、「Webデザインのスキルを活かしてホームページを作成します」というサービスを販売し、それを見た人がサービスを購入した時点で、受注したことになります。

クラウドソーシングサイトは、案件を発注する企業(または個人)が不特定多数のフリーランスに対して応募をかけ、応募してきた人の中から仕事を任せたい人を選ぶというタイプのプラットフォームです。
フリーランスエージェントと比べると募集中の案件数は多く、フリーランスとしての経験がなくても応募できるものも多くあります。

フリーランスエージェントは、フリーランスと案件を発注したい企業をマッチングさせるプラットフォームです。
クラウドソーシングサイトのように不特定多数を対象とした案件ではなく、特定のスキルや知識を持ったフリーランスを対象とした案件を取り扱っています。
そのため、単価も高額になる傾向にあり、かつ継続案件が多いため、スキルや経験がある場合は稼ぎやすいという特徴があります。

フリーランスエージェントへの登録は、クラウドソーシングサイトよりもハードルがやや高いかもしれませんが、会社員時代に身につけたスキルや実績があるのなら、登録して損はないでしょう。

フリーランス向けの福利厚生サービスを利用する

フリーランスは、
・国民年金保険
・国民健康保険
・介護保険(支払義務は40歳以上)
の3つに加入する義務があります。

けれども、収入が途絶えた時の生活費や、老後の生活費のことを考えると、これらの制度だけでカバーするのは難しいでしょう。
そこでおすすめしたいのが、
・フリーランスが加入できる福利厚生サービスを利用する
・フリーランス向けの救済制度に加入する
という方法です。

フリーランスの増加とともに、フリーランス向けの福利厚生サービスが登場しています。
例えば、「全国デジタル・オープン・ネットワーク事業協同組合」は、インターネット事業を展開している中小企業等によって創設された組織です。

同組織では、福利厚生事業の一環として、組合員に対してJSC総合保障を用意しています。
JSC総合保障には、「入院見舞金」や「育児休業補償金」など、病気や育児などで仕事を続けることが難しくなった時に備えた保障が充実しています。
老後の生活に備えるのなら、次のようなフリーランス向け救済制度の利用をおすすめします。

・国民年金基金(フリーランスなど国民年金に上乗せして加入可能な年金制度)
・個人型確定拠出年金(iDeCo)
・小規模企業救済(個人事業主を含む小規模事業者向けの積立金制度)

クライアントとの信頼関係を築く

ビジネスは、信頼関係で成り立っています。クライアントと信頼関係を築くことで

・継続して仕事を受注できる
・値上げ交渉に応じてもらいやすい
・クライアントの知り合いから仕事を受ける可能性がある

というふうに、新規開拓して仕事を獲得し続けるよりもより簡単にかつ条件の良い案件を継続して得やすくなります。

クライアントとの信頼関係を築くには、相手が望む仕事を忠実にこなすことと、納期を厳守することです。その他にもメールはできるだけ早く返信する、できない約束はしないなど、社会人としての最低限のマナーで接することを忘れないようにしましょう。

万が一に備えて貯金をしておく

フリーランスの収入は、不安定になりやすいという特徴があります。無理に安定させるよりも、「稼げる時に貯蓄に回す」とした方が、より簡単です。
仕事が入ったとしても、クライアントの急な都合によるドタキャンや、フリーランス自身が病気になるなど、常に予想外のことが起きます。
こうしたことを見越して、貯蓄するクセをつけるのが賢明です。

例えば、「月30万円で生活する」というふうに水準を決めて、それよりも多く稼いだ分は貯蓄に回します。
そうすることで、収入が水準より下回った月があっても、貯蓄からお金を出して補うことが可能です。

この水準は、1カ月無理なく稼げる程度の金額にするとよいでしょう。
もし、それで生活していくのが厳しいと感じたら、貯金にお金を回すため生活費から見直す必要があるかもしれません。

フリーランスエージェントに登録する

フリーランスになって厳しい生活を強いられないようにするには、継続して案件を確保することが一番でしょう。
仕事をして報酬を得ることを収入源としているフリーランスにとって、案件が途切れてしまうのは避けたいことですよね。

そこで利用したいのが、フリーランスエージェントへの登録。
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フリーランスエージェントを通じて案件を継続して獲得することができれば、収入を安定させることも可能でしょう。

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文 / サトセリ