個人事業主が従業員を雇用したときに発生する「社会保険」や「給与・税金の計算」など、法的な手続きを完全網羅!いつ、何(書類)を、どこに提出すればよいかわかるので、ミスのない雇用手続きができるようになります。従業員を新しく雇う・増やそうとしている方は必見です。
- 従業員を新しく雇うとき、必要な手続きがわかります
- 雇った従業員に給料を払うとき、必要な手続きがわかります
- 従業員を雇い続けるor増やすとき、必要な手続きがわかります
目次
従業員を雇用したときに発生する手続き
まずは、個人事業主の方が新しく従業員を雇う手続きをご紹介。
こちら全ての人事・労務に置いて必要な手続きとも言えるほど重要なものです。
順に、従業員との手続き、公的機関との手続き、自分でしておく準備、と紹介していきます。
従業員との手続き
まずは従業員と交わす手続き・契約についてご紹介します。
それは「労働条件通知書」「雇用契約書」です。
労働条件通知書【義務】
文字通り、労働条件に関する通知書になります。
書面化して従業員に提出すること、絶対的明示事項を記載することの義務がありますが、決められた雛形(テンプレート)があるわけではありません。
とはいえ、自分で作った雛形に情報の漏れがあると怖いですから、厚生労働省が公開している見本を使用するのがいいでしょう。
雇用契約書【義務ではない】
雇用契約を書面化したのが雇用契約書。
民法第623条により、契約を交わす必要はありますが、書面化しなくても罰則にはなりません。
- とはいえ、書面化しておいた方がトラブル回避になる
- 雛形が決められていない
こういった理由から、今では「労働条件通知書兼雇用契約書」として従業員に渡すケースが主流となっています。
▼労働条件通知書&雇用契約書についてもっと詳しく
従業員を雇用するときの雇用契約書を代行で作成
雇用契約書は義務ではありません。
しかし、会社としての雰囲気を大切にしたり、従業員とのルールを決めておくことは業務の運営上、必須とも言えるでしょう。
とはいえ、具体的にどんな情報を載せたらいいのかわ分からない……という方も多いはず。
実は、ココナラで雇用契約書の作成を代行することができます。
こちらは社労士事務所を運営されている代表者さん、一度ご相談してみてはいかがでしょうか。
社員を雇う際の雇用契約書を作成します 一目で契約内容がわかり、従業員も安心納得の雇用契約書
会社の中で決められたルールをまとめたものですが、こちらは10人以上の従業員を雇う場合のみ労働基準監督署に提出する義務が発生します。
もちろん、10人未満であっても時間に余裕があれば作っておいた方が良いでしょう。
公的機関との手続き
次に、公的機関と交わす手続き・契約についてご紹介します。
税務署
税務署には「給与支払事務所等の開設届出書(従業員を雇用してから1ヶ月以内)」を提出します。
こちら、従業員を雇ったことを税務署に報告する意図があります。
ちなみに、開業・独立と同時に従業員を雇う場合、「開業届」にその旨を記載しておけば、この書類を提出する必要はありません。
ハローワーク(公共事業安定所)
ハローワーク(公共事業安定所)には、2種類の書類を提出します。
順に、
です。
2つ合わせて、労災保険に加入するために必要な書類。
なお、都道府県及び市町村、農林水産、建設、港湾労働法が適用される港湾での港湾運送に該当する事業については、別の手続きで労災保険に加入する必要があります。
▼もっと詳しく
初めて人を雇い入れたので、雇用保険の手続きが初めてなのですが、まずどうすればよいのでしょうか。|厚生労働省
労働基準監督署
労働基準監督署には2種類の書類を提出します。
順に、
- 「労働保険関係成立届(従業員を雇用してから10日以内に提出)」
- 「労働保険概算保険料申告書(従業員を雇用してから50日以内に提出)」
です。
こちらの書類と、先ほどご紹介したハローワークに提出しなければならない2つの書類を合わせた4つが、労災保険に加入するために必要と理解しておきましょう。
注意点は、実際に労働基準監督署に出向いて書類を受け取る必要があること。
労働基準監督署では書き方のレクチャーをしていただけるので、その場で提出することが可能です。
その際には、印鑑、保険料分の現金、そして事業所の所在地がわかるものを忘れずに。
また、義務ではありませんが、従業員に1日8時間以上働いてもらうために「時間外労働・休日労働に関する協定書(36協定)」を任意で提出することもできます。
自分でしておく準備
従業員を新しく雇う際の準備、最後は自分が準備しておくことです。
それは、「労働保険への加入」と「法定三帳簿の作成・管理」です。
労働保険への加入
そもそも、労働保険とは「労災保険+雇用保険」のこと。
まず、労災保険は1人でも従業員を雇用すれば加入が義務付けられていますので、先ほど説明した4つの書類をハローワーク、あるいは労働基準監督署に提出しましょう。
次に、雇用保険は一定の条件を満たした従業員を雇用する場合に義務付けられている保険。
なお、一般的な学生は条件(勤務時間など)を満たしていても雇用保険に加入させる必要はありません。
▼雇用保険の条件について詳しく
雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか! |厚生労働省
法定三帳簿の作成・管理
個人事業主が従業員を雇うと、法定三帳簿を作成する必要があります。
法定三帳簿とは「労働者名簿」「出勤簿」「賃金台帳」のこと。
それぞれ、厚生労働省に雛形が用意されているので、ダウンロードしておきましょう。
もちろん、自分で作成しても構いません。
▼法定三帳簿を入手する
主要様式ダウンロードコーナー|厚生労働省
従業員に給料を支払う手続き!源泉徴収制度と年末調整
従業員を雇ったあと、個人事業主は従業員に給与を払います。
このとき発生する法的な手続き、「源泉所得税制度」「年末調整」についてご説明します。
源泉所得税制度とは
源泉所得税とは、所得税や住民税を毎月の給料から天引きしたお金のこと。
年一括払いではないからこそ、①国が安定な税収を確保できる、②納税者も無理のない納税ができます。
とはいえ、厳密な所得税や住民税は1年経ってからわかるもの。
ですから「年末調整」を行って、過不足の調整を行います。
この一連を「源泉所得税制度」と言います。
源泉所得税制度について【個人事業主が知っておくべきこと】
- 源泉徴収は「給与所得の源泉徴収税額表」を参考にする
- 従業員から源泉徴収したお金は翌月10日までに納付
- 支払い方法は所得税徴収高計算書と一緒に税務署か金融機関へ持ち込みか、e-Taxでの振り込み
- 特例制度あり
▼給与所得の源泉徴収税額表について
給与所得の源泉徴収税額表|国税庁
源泉所得税の納期の特例
源泉所得税は、事業者(個人事業主含む)が毎月10日までに振り込む必要がありますが、人数の少ない事業体だと、本業とのバランスの中で負担になってしまう方も多いかも知れません。
従業員が常時10人未満の事業者は、税務署に「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出することで、納期を半年に一回にすることができます。
提出した翌月から適用されるので、お時間がある際に書類を作成してみてはいかがでしょうか。
▼源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書はこちら
源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例|国税庁
従業員の給与計算を代行して本業に宣言できる
もちろん、源泉徴収の納期の特例を利用することで、納期を減らすことはできます。
しかし、それによって日々の給与計算・管理がなくなることはありません。
なかには、そっちの方が負担に感じてしまう方もいるほど。
そこで、ココナラの出品者にお願いして、従業員の給与計算業務を代行してみるのはいかがでしょうか。
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年末調整【義務】
年末調整とは、源泉所得税と年間所得に対する所得税(及び住民税)を照らし合わせ、過不足があれば給与で精算する手続きのこと。
タスク単位で手順化すると下記の3ステップに分かれます。
- 従業員から2つの書類を回収
- 所得税額を確定する
- 過不足があれば給与で精算
▼従業員から回収する2つの書類について(雛形をダウンロード)
従業員を5人以上雇ったら?社会保険への加入・節税や助成金の検討を!
事業形態や成長の度合いによっては、雇った従業員を勤続させ続けたり、新しい従業員を増やしたりする必要がありますよね。
ここでは個人事業主が従業員を雇い続ける、あるいは更に従業員を増やす際に必要な手続きをご紹介します。
従業員が5人以上になったら社会保険に加入【義務】
雇う従業員が5人以上になる場合、社会保険に加入することが必要になります。
社会保険とは、簡単にいえば「健康保険+厚生年金」のこと。
加入するために、5日以内に2つの書類を年金事務所に提出しましょう。
- 健康保険/厚生年金保険新規適用届
- 健康保険/厚生年金保険 被保険者資格取得届
ちなみに、毎月の保険料は個人事業主と従業員の折半。
社会保険料の算出方法は「令和2年度保険料額表(令和2年4月分から) | 健康保険ガイド | 全国健康保険協会」を参考にしましょう。
ちなみに、5人以上の個人事業所でも、一部の業態では義務づけられていません。
▼参考URL
事業所が健康保険(協会けんぽ)・厚生年金保険の適用を受けようとするとき|日本年金機構
《補足》5人未満の場合は、社会保険に加入しなくていいの?
個人事業主ご本人は含めず、「従業員」が4人以下の場合、任意で加入することができます。
ですが、それには従業員の半数以上の同意が必要。
同意を得たら、「任意適用同意書」「任意適用申請書」を管轄の年金事務所に提出しましょう。
▼お近くの年金事務所を探す
全国の相談・手続き窓口|日本年金機構
時間に余裕があったら【節税・助成金を検討しよう】
従業員を雇い続ける、あるいは従業員が増えていくと出ていくお金も大きくなりますが、節税や助成金を受け取るチャンスと捉えることもできます。
節税の例【控除】
各種助成金の利用
- キャリアアップ助成金:個人事業主のキャリアアップに貢献したら受け取れる
- 両立支援助成金:女性支援を目的とした助成金
労務相談に乗ってくれて安心
従業員を雇う上で、義務ばかりに目がいってしまう気持ちも分かりますが、長い目でみたとき、やはり削れるコストは削りたいもの。
また、従業員が増えることは、対人トラブルが起こる可能性が高まることも意味します。
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まとめ
個人事業主のなかには、従業員を雇うことに大きな不安を抱えている方も多いでしょう。
それは、あらゆる問題が一斉に自分に降りかかってくるように感じてしまうから、と筆者は考えます。
しかし、頭に浮かぶ不安事も一度整理をしてみるだけで、問題は意外とクリアに見えてくるもの。
今の状況を明確にすることから始めると、いざ相談する際もコミュニケーションが円滑に進むかも知れませんね。