企業の経営やプロジェクト遂行において欠かせないのが競合分析。そのために3Cや4P、PEST分析などのフレームワークの「使い方」を知ることはとても重要です。それを承知の上でこの記事では、そもそも競合分析がなぜ必要か、という最上級のテーマから解説していきます。
- なぜ競合分析をする必要があるのか知ることができます
- 競合分析とはどうすることか知ることができます
- 競合分析でよく使われる有名なフレームワークを理解できます
目次
競合分析をする目的
新しいプロジェクトの立ち上げ、あるいは事業の成長を考えるにあたって、競合分析は欠かせません。
そうは言っても、今まさに競合分析を始めようとしている方は、所属する会社の上司などから言われて始めている場合がほとんどではないでしょうか。
要するに、自ら必要性を感じて競合分析を始めたわけではないかもしれないということです。
できれば、「なぜやるのか」という点に納得感を持って競合分析を始めたいところ。
こちらでは、その疑問に真正面から向き合います。
競合分析とは何か
競合分析とは、文字通り「競合を分析すること」です。
ここでまず考えるべきなのが、「競合って誰?」問題です。
国内だけでもたくさんの企業があるなかで、「ライバル」の範囲を決める重要性は非常に高いです。
競合(=企業)が誰なのかを明らかにしない限り、分析は始められませんよね。 そこで必要な考え方が「市場」です。
市場と競合分析
市場とは、特定の商品の売買を成立させる擬似空間のようなもの。
昔は、「魚の売買はあそこ」「肉の売買はここ」なんていうように、物理的に場所が特定されていたため、競合を調査するにしても、ライバルはこの人とあの人と……と目に見える人を数えればOKでした。
しかし、今はどこにいてもネットなどで買いたいものが買える時代。
同じ「魚」という取引対象でも、色んなところで売り買いが行われています。
こうなると、市場はもはや目に見える場所にはありません。
そこで今日において私たちは、市場の意味合いを、(例えば「魚の市場」でいえば、魚を)売っている人たちや買っている人たちを一同にギュッと集めたような擬似空間と想像することにしています。
そして、インターネットなどを駆使して市場やライバルについて調べるのです。
これが、競合分析です。
▼話をまとめるとこうなります。
- 競合分析とは、競合を分析すること
- 競合が誰かを知るために、市場を明らかにしなければならない
- つまり競合分析とは、市場を明らかにしてその中にいる競合を調べること
なお、市場を明らかにする作業を「市場調査」とも言います。 こちらの記事では競合分析の定義を広くとり、「市場を明らかにすること」「そのなかにいる競合を知ること」の2つを指すものとします。
なぜ競合分析をするのか
競合分析とは何か、ざっくりと押さえたところで、いよいよ競合分析をする目的を確認しましょう。
競合分析をする目的は「利益を上げるため」
競合分析をする目的はずばり、「利益を上げるため」です。
これをまずしっかりと押さえておきましょう。
そもそも、会社を運営するにあたって全ての仕事は「利益」につながるものでなければいけません。
それこそが、会社の使命だからです。
▼法人や会社についてもっと詳しく
大事なのは「競合分析が利益にどう繋がるのか」
大事なのはここからです。
というのも、ゴールが完全に決まっている(利益UP)のであれば、もはや注目すべきは「競合分析をすることがどうやって利益に繋がるのか」という道筋といっても良いでしょう。
富士登山で上(山頂)ばかり見上げていても、目の前の道につまづいてしまいますからね。
競合分析は以下のような流れで利益につながっています。
- 競合調査→競合に対する競争戦略が立つ
- 競合に対する競争戦略が立つ→勝算が上がる
- 勝算が上がる→利益を上げやすくなる
まず競合分析をすると、市場とそこにいる競合たち、そして競合同士の関係性が分かります。
競合の会社とは基本的に同じ(似たような)ニーズを抱えたお客様をターゲットにしていることが多いので、どうしても「奪い合い」が発生します。
そこで、競争の原理が働くので、「どう戦うか」作戦を練る必要があります。
これを競争戦略と言います。
このような勝つための仮説(=競争戦略)を持つことは、成功確度を上げるために非常に重要です。
見通しが立つので、躊躇なく作戦を遂行することができますし、失敗してもそれは次により良い仮説を立てるのに役立ちます。
結果として、勝算が上がれば利益を上げやすくなるということです。
競合分析をするためにどうすれば良いのか【How】
なぜ、競合分析をするのかお話ししたところで、次に「そのためにどうすることが必要か」ご紹介します。
▼競合分析をするためにどうするか
- 競合の「何」を分析したいのか明らかにする
- フレームワークを使う
- 正しい情報を引っ張ってくる
競合の「何」を分析したいのか明らかにする
まずは、競合の何を分析したいのか明らかにしましょう。
競合を知る、といっても切り口は多様です。
「友人のAさんを知りなさい」と言われても、たとえその人のプロフィールを調べあげても、その人の全てを知ることはできませんよね。
心や頭のなかまで見ることはできないからです。
そこで、競合の何を知りたいのか決めておく必要があります。
ビジネスモデルなのか、売上高なのか、直近のKPI(目標)なのかといったようなことです。
そして、その選択や判断には「利益(=自分たちの事業の成功)」が関わってきます。
フレームワークを使う
何を分析したいのかが決まれば、それに相応しいフレームワークを使って調査を行いましょう。
そもそもフレームワークって?
フレームワークとは、その名の通り「型」のことです。
よく、「フレームワークとは3Cや4Pのことだ」と言われたりもしますが、厳密には間違い。
あくまでもフレームワークとは型のことで、その種類のひとつに3Cや4Pがある、という理解を持ちましょう。
何が言いたいかというと、多くの人に使い古された見慣れた型を使うことが、フレームワークを使うことではないということです。
事業の成長や成功、その先に待つ利益のために、分析したい何かがある。
そのために相応しいフレームワークを使うことが大切。
極論「なければ作っても良い」のです。
フレームワークを作る、あるいは既存のフレームワークを理解する際に重要なのがmeceという考え方です。
mece(ミーシー)とは、「漏れ無くダブリなく」という意味を持つ造語。
実務では、フレームワークを使って考える(戦略を練る)ことがとても重要です。
つまり、フレームワークに求められていることは、考えやすいように綺麗に情報を整理することなのです。
そこで用いられる考え方こそmece。
のちでご紹介する具体的なフレームワークでもって、その実例をご紹介します。
フレームワークを使うメリット
大きく3つあります。
まず、「見やすくする」こと。
例えば、山手線の線路図って綺麗な円形をしていますよね。
しかし、厳密にはそんなに綺麗な丸ではありません。
へこんでいたり、とんがっていたりします。
しかし、「駅情報を知る」上では、むしろ綺麗な円形の方が見やすいですよね。
知りたい情報を、より見やすくするためにフレームワークは有効的なのです。
次に、「考えやすくする」こと。
例えば、売上を上げるためにどうすれば良いか、手放しでアイデアをうんうん考えているよりも、「売上=客数×単価」と整理し、「客数を上げるためにどうすべきか」、などと考えていく方が考えやすいですよね。
最後のメリットが、「伝えやすくする」こと。
見やすくて考えやすいフレームワークは当然、伝えやすいということではありますが、これはビジネスにおいて重要な意味を持ちます。
なぜならば、コミュニケーション無くして、ビジネスは進まないからです。
職場、取引先など、相手の理解を促すために、伝わりやすい説明は不可欠ということですね。
正しい情報を引っ張ってくる
競合分析をするために必要なこと、3点目は「正しい情報を引っ張ってくる」ことです。
競合分析では、収集してきた(記録した)情報で分析をして、計画(予測)を立てることになります。
そこで成功確度の高い計画を立てるためには、集めてくる情報の正確性が非常に大切になるのです。
間違った標識だらけの道路を、正しく運転し続けることが難しいのと同様ですね。
ではどうすれば良いのか、正しい情報かどうかを判断するポイントは主に2つあります。
- なるべく新しいこと
- 調査方法に信憑性があること
具体的には、官公庁のサイト、あるいは民間企業の行ったなるべく公的な業界情報を見るようにしましょう。
「wikipedia」を始めとする個人の集合知的なサイトや、個人ブログなどの二次・三次情報を利用するのは、上記の2点を満たしている確証が取れないことも多いので、おすすめしません。
競合分析に使える便利なフレームワーク4選
競合分析をする際に使える便利なフレームワークを5つご紹介します。
「何をmeceに整理しているのか」意識しながら読んでいくと、理解がより深まるでしょう。
▼これからご紹介する競合分析に使える便利なフレームワーク4選
- PEST分析
- 3C分析
- 5F分析
- 4P分析
PEST分析
PEST分析とは、Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の頭文字をとったもので、非常にマクロな視点の分析ツールです。
言うなれば、「競合企業」を取り囲む「市場」、その市場を取り囲む「世界情勢」を分析するツールといったところでしょうか。
こちらは、自分で調べ切るのも限界がありますから、内閣府が発行する骨太の方針、あるいは経済財政諮問会議の取りまとめ資料を参考にするのがよろしいかと思います。
▼内閣府の資料(骨太の方針・経済財政諮問会議)を確認する
取りまとめ資料・政策実施状況 – 内閣府
3C分析
PEST分析が、市場を俯瞰するようなマクロ分析だったのに対して、3C分析では市場そのものと向き合うのに優れた分析ツールです。
というのも、、3つのCは市場における「売る側(自社あるいは他社)」と「買う側(顧客)」の3者を言い表しているからです。
▼3Cについて
- Customer(顧客)
- Competitor(競合)
- Company(自社)
5F(5 Forces)分析
5F(5 Forces)分析とは、3Cとは違った切り口で市場を分析できるフレームワーク。
筆者の使い分け方をご紹介すると、2つは「拡張性の高さ」に違いがあると考えています。
拡張性が高く、割りかし自由にカスタマイズできるのが3C分析。
ある程度、フレームワークの使い方が固まっているのが5F分析、という認識です。
ちなみに、5F(Forces)とは、真ん中に位置する「競合との競争」の上下左右を取り囲むように4つの脅威が矢印を向けているようなフレームワークになります。
▼4つの脅威について
- 売り手
- 買い手
- 新規参入
- 代替品
3C分析と5F(Forces)の違い
3C分析は、競合、自社、顧客、と市場に存在するプレーヤーを綺麗に整理してはいるのですが、競合の「何を」、自社の「何を」、顧客の「何を」調べたり、比べたりするかは決まっていません。
これは、自社が達成したい目的に沿った形に軸を設定できる利点もありますが、使い方が定まっていない分、使い手の力量が試されるツールでもあると考えています。
対して、5F(5 Forces)とは、市場内外の「競争」に視点を置いています。
要するに、「何を」が決まっているのです。
4P分析
4P分析とは、市場内にいる競合を調べるのに役立つフレームワークです。
実は、これは自社の戦略を練る際にも使えるのですが、企業のビジネスモデルを調べるツールですから、自社も他社も変わりがないのは当然です。
▼4つのPについて
- Product(製品)
- Price(価格)
- Place(流通)
- Promotion(販売)
要するに、「何を」「いくらで」「どうやって」「誰に」売るか把握することができれば、その会社のビジネスはざっくりと掴めるということ。
自社と他社の4Pを比べたときに、製品で勝負するのか、価格で勝負するのか、など比較検討もしやすそうですね。
競合分析は外注するのもあり!おすすめの出品者3選
ここまで4つのフレームワークについて、その概要をご紹介してきました。
フレームワークはあくまでも分析するための「道具」に過ぎませんから、どう使うかが本当に試される部分とも言って良いでしょう。
そうは言われても、競合分析をする仕事の締め切りは目の前まできているので、自分のスキルが追いつくか心配な方もいらっしゃるかもしれません。
そのような方に、ココナラでリサーチ業務の代行をおすすめします。
ココナラとは、オンラインかつマンツーマンで相談できるプラットフォームです。
他人のリサーチを参考にする、という点でも有効な学習手段になりますし、自社を深く知ってしまっている状態であやふやにリサーチをしてしまうと、客観性に欠けるリスクもあります。
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research_pointさん|わかりやすい図表で市場/業界調査を代行できます
業界分析・市場分析を行います ビジネス検討に必要な業界分析・市場分析レポートを作成します
まとめ
事業・会社の利益を伸ばすための「競合調査」。
それは、狙った市場を明らかにすることと、そこにいるプレーヤーを知ることです。
そのためによく使われているフレームワークを4つほどご紹介しましたが、実は、他にもたくさんのフレームワークがございます。
他のフレームワークも調べながら、自社のマーケティング活動に生かしてみてください。