法人とは、法律で認められている人格の一つで、その種類は細かく分類すると16にも分けられます。こちらでは、法人とはなにか、定義や種類の観点でわかりやすくご紹介。そして、法人の種類のなかでも「営利法人」に分類される、株式会社と合同会社の違いや魅力についても解説しています。
- 法人の定義がわかります
- 法人の種類がわかります
- 株式会社と合同会社の違いがわかります
目次
法人とはなにか
法人が16種類もあると聞くと、想像以上だったと思われる方も多いのではないでしょうか。
そこで、まずは「そもそも法人とはなにか」という定義を確認します。
ポイントは、「法」人というくらいですから、法律と大きな関わりを持つ存在だということ。
法人の定義をきちんと押さえておけば、より法人の種類に対する理解は深まるはずです。
法人とは「法律で認められた人格」のこと
法人とは、法律で認められた人格のこと。
法律で存在が認められると、権利能力の主体になることができます。
権利能力の主体になることについて簡単に説明すると、以下のようなことができます。
▼人格を法律で認められる(権利能力の主体になる)とできること
- 商品を購入する
- 納税ができる
- 訴える/訴えられる
など
例えば、ペットで飼っている犬はその犬自身が商品を購入したり、納税をしたり、訴えたりすることはできません。
もちろん、能力的にできないということもあるかもしれませんが、法律上の理解では「人格が認められていないのでできない」とされています。
法律で認められた人格は「法人」と「自然人」の2つだけ
法律で認められた人格として認められているのは、「法人」と「自然人」の2つがあります。
自然人とは、生まれてきた私たち人間のこと。
私たち人間は、生まれてから死ぬまでの間、法律で認められた人格として活動することができます。
(=権利能力の主体になることができます)
教育を受けたり、買い物をしたり、揉め事を裁判で解決できるのは権利能力を有しているからです。
法律で認められた人格は、法人と自然人の2つ。
法人とは法律で認められた人格なので、まるで生きている人間と同じように商品を購入したり、納税をしたりすることができるのです。
法人の種類を一覧でわかりやすく
法人とは、法律で認められた人格の一つ。
ですから、権利の主体となって様々な活動を行うことができます。
ところで、法人はその活動形態や目的によって、16もの種類に区分することができます。
例えば、携帯キャリアの会社でおなじみの「docomo」「au」「softbank」は全て株式会社という区分になります。
また、大学やNPO法人、宗教法人、地方公共団体も立派な法人の種類の一つ。
こちらではまず、法人の全種類を一覧表にしてみました。
そして、法人の種類の一覧表のなかで、注目すべき3つのポイントについて解説しています。
法人の種類【一覧表】
大分類 | 中分類 | 小分類 | 法人形態 |
私法人 | 営利法人 | – | 1. 株式会社 |
持分会社 | 2. 合同会社 | ||
3. 合資会社 | |||
4. 合弁会社 | |||
非営利法人 | 中間法人 | 5. 協同組合 | |
6. 管理組合 | |||
7. 互助会 | |||
公益法人 | 8. 一般財団法人 | ||
9. 公益財団法人 | |||
10. 一般社団法人 | |||
11. 公益社団法人 | |||
12. NPO法人 | |||
13. 宗教法人 | |||
公的法人 | 14. 地方公共団体 | ||
15. 独立行政法人 | |||
16. 特殊法人 |
法人は、主に3つの軸(大分類・中分類・小分類)でもって、16の法人に分けられます。
以下では、3つの軸に着目することで、各法人同士の違いについて明らかにしていきましょう。
大分類の区別|私法人と公的法人の違いをわかりやすく
まずは、大分類の軸について、私法人と公的法人の違いに着目します。
私法人と公的法人の違いは法人を設立する人にあります。
- 私法人は基本的には個人(正確には私人という)が誰でも設立可能
- 公的法人(公法人ともいう)は行政が設立できる法人
中分類の区別|営利法人と非営利法人の違いをわかりやすく
次に、中分類の軸について、営利法人と非営利法人の違いに着目します。
営利法人と非営利法人の違いは法人を設立する目的にあります。
- 営利法人は営利(簡単に言うと儲けること)を目的とした法人
- 非営利法人は営利を目的としない法人
法人と似たような意味として認識されることが多い「会社」という言葉。
実は、会社とは営利法人のことを意味しています。
会社とは法人の一形態であることを押さえておきましょう。
小分類の区別|株式会社と持分会社の違いをわかりやすく
次に、小分類の軸のなかでも、「株式会社」と「持分会社」の違いに着目します。
株式会社と持分会社は、所有と経営が一致している、あるいは分離している違いがあります。
- 株式会社は所有と経営の分離が原則(出資する人と経営する人が別)
- 持分会社は所有と経営の一致が原則(出資する人と経営する人が同じ)
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法人にはたくさんの種類があります。
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【法人の種類についてもっと詳しく】株式会社や合同会社の違い
法人の種類の一覧表と、その読み解き方について解説しました。
独立を検討している方で「どの法人を設立しようか」悩んでいる方もいらっしゃるかと思います。
そのとき、法人とはなにか定義を理解することや、一覧表を眺めることも、もちろん大切ですが、それを踏まえた上で、グッと焦点を絞り、自身が設立可能な法人のなかでどれがベストかを考えることもまたとても重要です。
そこで、こちらでは営利法人、なかでもおすすめな2つの形態
- 株式会社
- 合同会社
この2つに絞って、その違いを詳しくご紹介します。
株式会社とは
数ある法人の種類のなかで、最も数が多い株式会社。
何がそこまで魅力的なのか、2つのポイントを解説します。
【株式会社の魅力①】有限責任である
1点目のポイントは、有限責任であるということ。
なぜそれが魅力的なのか解説をする前に、会社の仕組みをもう一度おさらいしましょう。
会社とは、人が集まってお金を出し合うことから始まります。
出し合ったお金で設備投資をしたりして、モノやサービスを作ります。
それを人々に対価をもらいながら提供し、最初に集めたお金以上の金額を受け取ることができれば、最初に集まった人たちで山分けする、というものです。
しかし、ときには最初に集めたお金以上の金額を儲けることができない場合もあります。
いわゆる「赤字」という状態です。
このとき、有限責任であればその責任を「出資額」の範囲だけ負えばOK。
ちなみに、有限責任の対義語にあたる言葉が「無限責任」。
無限責任を背負っている方は、もし会社が赤字を出してしまった場合、その全てを個人で背負う必要があります。
場合によっては、個人の財産を失ってでもお金を返さなければならないということです。
このように、有限責任とはリスクのコントロールがしやすいという点で魅力的です。
【株式会社の魅力②】多くの人からお金を集めやすい
2点目のポイントは、多くの人からお金を集めやすいということ。
会社の仕組みについて上段で軽くご紹介しましたが、モノやサービスを作るにはお金が必要です。
もちろん、多くのお金が集まるほど、たくさんのモノが作れたり、より良いサービスを提供することができます。
それは、結果として人々から受け取る対価を大きくすることにもつながります。
(※集めたいと思った金額が、集まりやすい方が良いのです。)
その点で、株式会社は非常に優れています。
なぜならば、株式会社には「所有と経営の分離」の原則があるからです。
この原則を簡単に言えば、お金を出す人と集まったお金でサービスを作る人が違って良い、というルールです。
そうなると、お金を出す人はお金を出して待っているだけで元金が増えて返ってくるかもしれません。
もちろん、赤字になった場合も出資した金額までの責任を負えば良いだけです(有限責任)。
株式会社は多くの方からお金を集める仕組みとして非常に優れているのです。
合同会社とは
最近、スタートアップや外資系IT企業を中心に急激に数を増しているのが合同会社。
合同会社の何が魅力的なのか、2つのポイントをご紹介します。
【合同会社の魅力①】所有と経営の一致
合同会社の大きな特徴が「所有と経営の一致」です。
株式会社と違うのは「お金を出した人がサービスを作る(経営をする)」ということ。
ちなみに、合同会社もお金を出した人の責任は「有限」です。
株式会社にすれば、もしかすると何万人という方に出資をしてもらえるかも知れないのに、合同会社は経営陣だけ出資、となると小規模なビジネスになってしまうのかな、と思う方もいるでしょう。
しかし、amazonやappleのような合同企業を例に出すと分かりますが、彼らはサービスを利用している顧客から莫大な対価を受け取っています。
要するに、「わざわざ多くの人から出資を募らなくて良い」のです。
また、株式会社のようにお金をいろんな人から集めると、その人たちの声を聞く必要もあるので、スピード感を持って行動することがときには難しいことも考えられます。
時代の流れが速くなったからこそ、合同会社の魅力が増してきたと言っても良いでしょう。
【合同会社の魅力②】運営コストの削減
合同会社は、amazonやappleのような「超大企業向け」というわけでもありません。
小規模なビジネスにも非常にむいています。
例えば、設立費用は株式会社が20万円~、に対して、合同会社は6万円~設立可能。
設立時の手続きも、株式会社は何枚もの書類を提出する必要がありますが、合同会社は紙切れ1枚だけです。
あとは、株式会社とは違って「株主総会」のようなイベントごとを開く必要もありませんし、「監査役の設置」「取締役会の設置」などの義務もありません。
簡単に言えば、合同会社は自分たちのやりたいようにできる部分が大きいのです。
ちなみに、amazonやappleのような大きな多国籍企業は、運営コスト削減のなかでも「節税」のところでメリットを感じていると考えられています。
パススルー制度ともいうのですが、大きな合同会社はこれにより、所得税の払いすぎを防ぐことができています。
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まとめ
法人とは何か、その全体像をさらっと眺めつつ、最終的にはグッと焦点を絞って4つの法人「株式会社」「合同会社」「合資会社」「合弁会社」についてご紹介してきました。
法律の勉強をしている方や、独立を目指している方に向けて分かりやすい説明を心がけてきましたが、理解を促すコツは「ツボを押さえること」と筆者は感じています。
例えるなら、曲の構成を人に伝えるとき「Aメロ、Bメロ、サビ」の3パートです、と伝えてもなんだか無機質で温度感がないような気がして、イメージがわきづらいですよね。
「実は3パートあるうちのサビが重要で、メロディを盛り上げて歌詞でも強い主張をする」なんて言われるだけで納得感が違うかと思います。
ぜひ、参考にしてみてください!